TATAMIEN

80mmでしかできない、シンプルでスマートな和小物

―島田さんは、「畳縁(たたみべり)」という素材を用いてブックカバーやカバンなどのプロダクトを製作されていますが、「畳縁」とはそもそもどういうものなのでしょうか?

「ひらたく言うと、畳の縁を守るための布、です。畳はイグサを織り込んで形成されていて、織った面の部分はとても丈夫なんです。けれど、縁の部分はどうしても弱くなってしまうんですよね。そのため、強度を守るための役割として本来は使われています」

―畳縁は畳を守るための素材であって、畳ではないんですね。

「そうなんです。もともとは、裂き布が起源と言われていて、着物を割いて畳の縁に巻いていたそうです。僕も、以前建築関係の仕事をしていて、その現場で初めて畳縁のこと知りました」

―畳縁を知った時、なぜそこから「ブランドを立ち上げよう」と思ったのでしょうか?

「畳縁の特徴の一つに『折幅が細い』ことがあります。ほとんど80mmの規格で統一されているんですが、その幅のファブリックって世の中に畳縁しかないんです。この独特な素材で、『80mmでしかできないもの』を作ってみたい、という衝動にかられたのが最初のきっかけでした」

―とても特徴のある素材だったんですね。プロダクトを作る際にこだわっていることはありますか?

「ブランドを立ち上げる際に、建築で学んだ、色んな設計の技術や考え方を応用していこうと考えていました。建築でいうと動線や配線など、なるべく無駄を省いて短くした方が『過ごしやすい』という実感に繋がるんですね。プロダクトについても、無駄がなくてシンプルで、癖があるけどなんか愛着が湧く、そんなものを作るように心掛けています」

―やはりそれは、畳縁でなければ成立しないですか?

「そうですね。自分にとって、畳縁は非常にレアな存在でした。岡山県の特産品で日本の約8割の生産シェアを占めているにも関わらず、ずっと知らずに過ごしてきた。こんなものがあったのか、と一気に惹かれていきました。それと、和物って今の若い人はあんまり使わないと思うんですよ。でも、せっかく日本に住んでいるから、日本の物をもっと知ってもらいたいという気持ちがあって。それを、畳縁という素材を使って日常に溶け込ませていけたら良いな、とずっと考えています」

―TATAMIENというブランド名にも、「込められた思い」がありそうです。

「畳縁の『縁』という字は『えん』という意味もありますよね。少しでも若い人や周りの人に和の文化に触れてもらいたい、その『ご縁』を増やしていけるといいな、という思いから名付けています」

―畳縁をつかう機能的なメリットはどのようなものがあるでしょうか?

「非常に軽いことと、丈夫なこと。それに、汚れも目立ちにくいです。もとをただせば建築素材なので、10年〜20年は腐ることもなく、耐久性も申し分ないです。例えば、カバン底が擦れたとしても、破れたり糸切れしたりせずに済みます」

―カバンを触らせていただいて、丈夫なわりに触り心地はソフトだと感じました。デザインも、どれもシンプルでスマートな印象を受けます。

「機能が少ないと、使いにくい場面もあるとは思うんですが、その中で使い方は、持っている方が考えると思うんですね。そうすることで、愛着が湧いて長年使っていただけると僕は考えています。その考えが、ブランドコンセプトでもある『無駄をそぎ落としたシンプル』につながります。展示会などで、『畳縁でこんなにシンプルなものが作れるんだ』というお声をもらうことがあります。それは、どこか和の物は古風だったり、派手すぎたりする部分がイメージであると思うんですが、デザインについてもシンプルであることを追及しています」

―TATAMIENのプロダクトは機能面、デザイン面どちらも洗練されているので、色んな方に使ってもらいやすいと思います。

「ありがとうございます。手に取っていただけたお客様には、ガシガシ使っていただきたいですね。丈夫なので、どこにでも連れていってやってください(笑)」

―最後に、今後のTATAMIENの目標はありますか。

「海外の方にも、ぜひ手に取っていただきたいなと思っています。和文化のものですが、シンプルなデザインにしているので、受け入れやすいのではないかと。TATAMIENを通じて畳縁を知ってもらい、そこから和文化の良さを感じていただけたら、僕にとってとても嬉しいことです」

Profile
Brand

岡山県倉敷市で活動する和小物ブランド「TATAMIEN」。岡山県の特産品である「畳縁(たたみべり)」を使用し、軽量で丈夫である素材の良さを活かしながら、「80mmでしかできないもの」を日々手作業で生み出している。「無駄をそぎ落としたシンプル」というコンセプトの通り、完成したプロダクトはどれもスマートでスタイリッシュ。「和小物」の常識にとらわれず、どんな人にもどんなシーンにも使いやすいデザインに仕上げている。

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