タケヤリ

創業130年の老舗メーカーが描く、帆布バッグの可能性

―「帆布と言えばタケヤリ」と言えるほど著名なメーカーだと思いますが、その歴史について教えてくださいますか?

「帆布の生地を専門的に織っていまして、工場が始まったのは今から130年前の明治21年(1888年)、現会長のおじい様とおばあ様が創業されました。創業のきっかけは、おばあ様の手織りで織る帆布が「すごく品質が良い」と地元で評判になったことでした。周りからは「織姫」という愛称で呼ばれるくらいの腕前で、ではそれを本格的に商いにしていこうということで、始まったと聞いています」

―「織姫」という愛称はキャッチーですね。創業後も、ずっと手織りで製作されていたのでしょうか?

「はじめのうちは手織りだったのですが、60年前に動力を投入しまして、そのことで生産規模が大幅に増えました。取り入れた動力が、ベルギー製の『ピカノール』というシャトル機(生地を織るための機械)なのですが、それを持っていて、かつ動かせる技術がある、というのが、現在は世界的に見てもタケヤリだけです」

―世界で唯一の技術ですか! 60年前のシャトル機を今もなお使い続けるということは、帆布を織るのに非常に優れた性能を持っているということでしょうか?

「その通りです。そもそも帆布は1号から11号まで厚みの幅があるのですが、中でも最も厚い1号〜3号帆布は、弊社でしか織ることができない生地だといわれています。おかげさまで、これまで工業用や各企業様のOEMなど、たくさんのご要望を頂戴して生産を行ってきました」

―すべての厚みの帆布を織ることができる、というのは本当に貴重ですね。OEMではなく自社ブランドを立ち上げることになったのはどうしてでしょうか?

「現在の会長が、うちでしか織れない極厚のしっかりとした生地を使って何か新しいことができないか、ということを考えまして、その特性を活かせる『バッグ』のブランドが今から8年前に出来ました。自社ブランドでは、基本厚さ2号の帆布を使ってバッグを作っているのですが、2号帆布が普段どういうところに使われているかというと、工場のベルトコンベアのベルトの中などです。ずっとぐるぐる稼働させていても摩耗しない、それほど頑丈で持ちの良い素材です」

―素晴らしい耐久性ですね。それだけ頑丈な生地だと、バッグにすることも大変だったのではないですか?

「仰る通りで、生地が厚すぎて、縫製や染色の工程も非常に苦労しました。簡単に針や色が入らないんですね。ですが、そういった難関も、縫製工場の方や染色工場の方にご意見をいただきながら、試行錯誤してようやく立ち上がったブランドです」

―ブランドラインがいくつかありますが、それぞれの特徴について教えていただけますか?

「ひとつめは、その名も『タケヤリ』というブランドです。こちらは主にレディース向けの商品を揃えていて、厚さ3号の帆布を使用しています。3号帆布は、普段はエスカレーターの手すりのベルトなどに使われているような素材なので、耐久性は抜群です。鮮やかな色合いや、これまでの帆布商品にはなかった綺麗めのデザインが特徴で、ビジネスシーンやフォーマルな場所にも使っていただきやすいラインです」

―発色が本当に鮮やかですね!

「徳島の染色工場で染めていただいて、限りなく糸の芯まで染まるように、染めた後に1日寝かせて熟成させています。さらに、そこに撥水加工を施して、雨の日でも使えるように工夫しています」

―ふたつめはどのようなブランドでしょうか?

「2号帆布を使用している『アンダーキャンバス』というブランドです。タケヤリの帆布の良さや品質の良さを直に訴求できる商品ラインナップで、生活の様々なシーンに寄り添っていける『なじむバッグ』をイメージしています。また、染め方はあえて糸の中を白く残す『中白染め』という手法を採用しています。デニムのように、使っていくうちに色落ちして、あたりが出て、味わいが増していく。丈夫な帆布ならではの商品で、一緒に育てていくバッグです」

―育てていく、というコンセプトが素敵ですね。特にメンズはグッとくると思います。

「最後に、昨年の夏に生まれました『TX(ティーエックス)』というブランドです。こちらも2号帆布を使用していて、基本的には裏地なしの1枚作りで構成しています。丈夫なのに軽くて、ショルダーベルトが数パターンから選べる仕様になっています。自分でカスタマイズする楽しさであったり、帆布ならではの切りっぱなしのデザインであったり、遊び心を取り入れた商品になっています」

―有難うございます。どのブランドにもタケヤリ帆布の特徴が詰まっていて、とても魅力的に感じます。

「私たちは老舗ではありますが、帆布の可能性をさらに広げていきたいという想いがあります。帆布をコーティングしたり、型押ししたり、これまでやってこなかった加工や織りなどを独自開発して、皆様により良い商品を形にしてお届けできればと考えています」

―商品自体にこだわりを感じます。それがクオリティの高さに結び付いているように思います。

「つくり自体もそうですが、タケヤリの帆布は検査基準がすごく厳しいんです。織りあげた後に汚れや傷を全て人の目でチェックして、直せるところは全て直してから製品化するようにしています。そういったきめ細かさも、商品への妥協の無さが表れていると思います」

―最初から最後まで、丁寧な職人の技で作られているのですね。タケヤリとして、今後どのような発展を目指していますか?

「ずっと昔からやって来て、スタイルを変えないということも大切なんですけど、若い人間の新しい発想でどんどん出来ることが広がっていくことも同じくらい大切だと考えています。帆布の可能性はまだまだ発掘できると思っていて、『変えないところは変えずに、できるところは増やしていく』という発想で、皆さまの生活の中でもっと存在感を大きくしていけたら良いなと思います」

Profile
Brand

明治21年(1888年)に創業した、老舗の帆布メーカー「株式会社タケヤリ」。1号〜3号帆布という、他では織ることのできない厚さの帆布を織る技術を有している。2010年に自社ブランドを設立し、帆布の特性を活かしたバッグを生産。リーディングカンパニーとして、妥協の無いものづくりと柔軟な発想で、帆布の可能性を追求し続けている。

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