袋う

老舗の縫製メーカーが作る、「今欲しい」日常で使えるバッグ

―京都で120年以上、袋物を製作されてきたと伺いました。

「弊社は明治25年(1892年)に創業し、以来120年余り京都で和装小物の加工をしております。具体的な商品として、西陣を背景に七五三用の小物、筥迫(はこせこ※)やハンドバッグ、巾着、袴などを作らせていただいています」

※和装の女性が懐に入れて持つ紙入れの一種。七五三の女児や婚礼の際の花嫁などの装飾品として用いられる。

―和装小物を長年作られてきた中で、「袋う(ふくろう)」というブランドを始めるようになったのはどうしてでしょうか?

「現在も和装小物を作り続けてはいるのですが、少子化の影響もあり、七五三の需要は年々縮小傾向にあります。私たちは市場の約50%の商品を製作させていただいているのですが、このまま同じことを続けているだけではいずれ立ち行かなくなってしまうと感じ、2014年に新しい事業として『袋う』を立ち上げました」

―「袋う」というブランド名もかわいいです。

「袋物を作ってきた会社ですので、袋に《縫う、繕う、纏う…》など、物事の動く様子を伝える日本語の『〜う』を付け加え、『袋う』と名付けました。自分たちは作り手であり、世の中に良いと思うモノを発信していきたいという想いを込めています。また、読みが動物のフクロウと同じですので、ブランドのモチーフとしても掛け合わせています」

―ブランドの特徴やイチオシの商品はありますか?

「2018年の2月に『しっかりくったりかばん』という商品を発表しました。日常的に使っていただきやすいようにシンプルなデザインを意識していて、さらに他の商品と異なる面白さを持たせるために、素材にひと工夫しています。それは、帆布とリネンとの組み合わせです。両素材とも国産のもので、帆布の丈夫さと、リネンの優しい肌触りを合わせることで、長く愛着を持ってお使いいただける商品ができたと思っています」

―帆布とリネンの組み合わせは面白いですね! 商品名の通り、しっかりした帆布の部分とくったりしたリネンの部分がマッチして、ひとつのバッグとして見たときにとてもかわいいです。

「ありがとうございます。このシリーズは、ブランドの新商品を企画する中で出たアイデアを形にすることで生まれました。製作を進めていく中で一つ懸念となったのは、異なる素材を合わせることで生じる『耐久性』の差異でしたが、リネンを二重構造で使用して帆布の耐久性に近づけることで、クリアできました」

―想定される課題点も、これまでの経験や技術力から解決されている印象です。発表された後の反応はどうでしたか?

「素材の組み合わせの新しさと、荷物の内容量によってバッグの形が変わる意外性が面白い、という感想をよく耳にします。帆布に比べてリネン部分が柔らかいので、容量が少ない時はクシュっとした形になって、その見た目がかわいいと仰っていただけます。また、手に持ってみるととても軽い、という評価も多くいただきます」

―なるほど、見た目のかわいさだったり、手にした時の軽さだったりも、帆布とリネンを組み合わせたことで生まれたメリットですね。

「もう一つの工夫として、帆布とリネンの縫い合わせた部分が内ポケットになっているので、小物類を入れておくことができる構造になっています。機能性もあって良いという有難いご意見も頂戴しています」

―商品を作る上で、「袋う」ならではのこだわりや工夫はあるでしょうか?

「製作工程で、一枚流しという生産方式を取り入れています。これは、一人の職人が、裁断から縫製まで、ひとつの商品を作り上げる手法です。パーツ毎に商品を分けて作っていくやり方もあるのですが、一人が最初から最後まで商品を作る方が、圧倒的に作業効率が良いんです。また、商品自体の全体像を把握することで細かな部分のチェックまで見逃すことなく行えます。それぞれの職人が、ひとつひとつを丁寧に、かつ責任をもって品質の高いものを皆さまにお届けすることを常に考えています」

―熟練の職人さんが商品を一貫して製作されているのは、とても安心感につながります。

「まだ新しいブランドやシリーズですが、これまで長きにわたり培ってきた縫製技術や職人の丁寧な手仕事、愛情がたくさん込められた商品です。日常で使い続けていただけるような、毎日のパートナーとして皆さまに寄り添える存在になれたら嬉しいと思っています」

Profile
Brand

明治25年(1892年)京都にて創業。七五三用品や和装小物、袋物などの製作を行う縫製メーカー。これまで培ってきた縫製技術をもとに、2014年に新たなブランド「袋う」を設立。2018年2月には、同ブランドから「しっかりくったりかばん」を発表。国産の帆布とリネン素材を縫い合わせた斬新な素材感と、シンプルで飽きの来ないデザインが好評を得ている。商品はひとりの職人が裁断から縫製に至るまで一貫して担当し、ひとつひとつ丁寧に製作している。

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