tokyo toff.

幸せな想い出をカタチに残す“歩かない靴”

歩かない靴。その不思議なアイテムを生み出したのは、東京・蔵前にアトリエを構える「tokyo toff.」のデザイナー・大河なぎささんだ。

大河さんは美術系の大学を卒業後、インテリアデザイナーとして企業に就職。のちに独立し、フリーランスとして活動していく中で靴作りに出会い、その複雑で奥深い世界に魅了され、シューズデザイナーに転身した。

歩かない靴が生まれたのは、「tokyo toff.」を立ち上げてすぐの頃だ。

「当時、私の周りには出産を迎える友人が多くいました。そのお祝いに自分ができることを考えたときに、“やっぱり靴だろう”と思い、自分で作ったベビーシューズをプレゼントしていました。それがとても好評だったので商品化することにしたんです」

その靴の名は「shoes album 0」。数字のゼロは、0歳児向けであることを示している。しかし、0歳児が自分で歩くことはまずない。そのため通常であれば、ベビーシューズは1歳児以上が対象とされている。

「生後3ヶ月を過ぎたくらいになるとシューズを履けるようにはなりますが、歩くための靴ではないですから、厳密にいうと靴とは呼べないかもしれません」

では、どうして0歳児向けに作ったのだろう?

「履くというより、“残すモノ”というイメージです。幼い頃に、手形や足形を残しますよね。それと同じ感覚で、初めて足を通した靴を、そのままのカタチで大切にしていただけたらと思っています」

商品名に「album」とあるのは、写真を入れるスペースを箱に用意しているからだ。たとえば、我が子に「shoes album 0」を履かせて、記念撮影する。その写真はシューズと一緒に保存しておくことができる。

「子どもがいつか大きくなったときに、生まれて間もない頃の“大切にされていた想い出”がそこに残っているというのは、とても素敵なことだと思うんです。本人だけでなく、ご両親もシューズを見れば、きっとお子さんが小さかった頃を思い出すのではないでしょうか。その際に『こんなに小さな足をしていたんだね』と、微笑みながら親子で会話を交わせたら、とても幸せですよね」

我が子が幼い頃に使っていたものを残す親は多い。大河さんの両親もそうだった。

「私の両親は、私が小さい頃に使っていたタオルを、いまでも大切にとっているんです。でもよく見ると、私は噛み癖があったようで、あまりキレイとは言えない状態……(苦笑)。それを見た瞬間、『もっとキレイなまま残っていたらよかったのに』と感じたことも、このベビーシューズが生まれたきっかけのひとつです」

歩かない靴「shoes album 0」を入れる箱が愛らしいデザインになっている理由もそこにある。靴を箱に戻せば、いつまでもキレイに保存することができる。そして箱を開けばそこに、幼い頃の我が子の写真が添えてある。

つまりこのアイテムは、届けて終わりではなく、親が子に履かせることで初めて完成する贈り物なのだ。同じものは世界中どこにもない。たったひとつの贈り物がその瞬間に生まれる。

商品化した翌年の2012年には、「Japan Leather Award 2012」でグランプリを受賞している。

「その年のテーマが『麗しき贈り物』だったことも受賞の追い風になったのかもしれませんが、例年より一般投票で多く票を集めての結果と聞き、とてもうれしく思いました」

過去のグランプリ作品はどれも高度な技術によるアート作品のような革製品だったが、この年は違った。その愛らしい見た目と贈り手側の想いに、多くの人が共感したに違いない。それは大河さんにとっても、大きな自信になった。

「受賞を機に、より多くの人にこのベビーシューズを届けたいという思いは大きくなりました」

ベビー用品ということもあって、素材へのこだわりも配慮が行き届いている。

「素材自体に有害物質のない『天然皮革』のエコレザーを使っているので、赤ちゃんが口に入れても安心ですし、安全です。また靴の素材はもちろんですが、箱や箱に付けるリボンも、すべて国産のものを使用しています」

そうしたこだわりはすべて、未来に残す美しい想い出のためだ。その想い出が汚れることのないよう、最大限の思いやりを小さなシューズに大河さんは詰めている。

「がっかりさせたくないんです。もらった人には笑顔になってほしいですから。お礼のお手紙をいただくことも多いのですが、それも心に届くギフトを作れている証拠だと思っています。これからも丁寧に、ひとつひとつ真心を込めて商品をお届けしていきたいです」

Profile
Brand

大河なぎさがデザインを手掛ける、シューズを中心とした革製品ブランド「tokyo toff.」。美術系の大学を卒業後、インテリアデザイナーとして就職。のちに靴に興味を持ち学校で技術を学び、同ブランドを立ち上げる。2012年「Japan Leather Award 2012」にて、ベビーシューズ「shoes album 0」がグランプリを受賞。東京の職人と連携しながら、厳選した素材を使ったALL MADE IN JAPANの革靴や革小物を生み出し続けている。

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